My Backbone 本と映画と音楽と ~「小清水 志織」こと Yくんのリクエストに応えて~ 


  『あ・うん』(向田邦子 著。1981<昭和56>年 初版。文藝春秋 刊)


※このホームページの「脚下照顧」のコーナーから

いつもの粟津温泉から帰り、先週から楽しみにしていたNHKラジオ「新日曜名作座」を鑑賞する。ついに

最終回を迎えた、向田邦子原作『あ・うん』「四人家族」(西田敏行、竹下景子 出演)の放送だ。

「これなんだよ、これなんだよ、と呟いた。長い間、憧れていたものはこれだったのだ。

 あのまじめさ。おかしさ。可愛らしさ」

(文春文庫 p.181より)の場面で、「やっぱり」落涙した。 2022.6.26


「歴史の流れの底に、神国日本、帝国陸海軍は埋没しても良い。しかしこのささやかな愛と友情の物語は、

何としても私たちの手で掬い上げなければならないという思いが、いくつかの障害を乗り越えて、この映画を

完成に導いたような気もします」。向田邦子原作の映画「あ・うん」のパンフレット「戦前の昭和を生きた人々

へのレクイエム」(降旗康男監督の寄稿)より。監督の言う「歴史の流れの底から私たちの手で掬い上げなけ

ればならない人物や出来事、物語」について考えている。たとえばそれは、古代ローマの剣奴(グラディエーター。

剣闘士奴隷)スパルタクスと彼が指導した奴隷反乱、その物語。私の卒論のテーマ・人物、李卓吾(李贄)の

ことも。 2022.6.29